「深刻なアスベスト被害」 川島 哲

  スティーブ・マックィーンのファンであった私は、彼が自動車レース好きで耐熱性のアスベストを用いたレーシングスーツ着用が原因の肺がんで亡くなったと記憶している。

  アスベスト(石綿)による(中皮腫)公害が最近またニュースになっている。建築資材での活用が主な原因だが、歯科界も無関係ではない。7月26日にフルキャストクラウンを製作していた兵庫県の男性歯科技工士(46歳)が中皮腫で死亡していたことが分かった。調査したのは、産業医学総合研究所(川崎市)の森水謙二部長らのグループである。

  歯科鋳造でのアスベスト利用は、圧迫鋳造、リングライナー等あり、私も今から31年前の歯科技工学校の実習でも必ずアスベストは用いらされていた。今思えばぞっとするが、1990年代にやっとガラスウール等に改善されたと記憶する。1985年から2000年にかけての死亡した歯科技工士の約1500人の死因に中皮腫が原因とされるのは、兵庫県以外にも神奈川県に散見されるとある。
現在アスベスト材は発売中止であるが、長年用いてきた歯料技工士の健康被害調査をさらに進めるべきだと思う。

 現状、日本の歯科界はこの件で、まったく資料を持ち合わせていないし、調査にも関心がないのは同業者としても寂しい限りである。患者さんの健康を考えていた歯科技工士が自らの健康を切り売りしていたとは、私を含めて辛い過去である。
 今後の発病のリスクは背負わなけれはならないが、保証は誰がしてくれるのだろうか? もしもあなたが自覚症状を感じ肺を患って通院していたら、速やかに地元の労基書へ相談に行かれてほしい。
 同時に個人ではできない歯科業界の「愛に満ちた」対策会議が待ち望まれる。