歯科技工はサービス業 〜名古屋高裁が逆転判決〜

歯科技工所は製造業かサービス業かを巡る裁判で、名古屋高裁は9日、一審の名古屋地裁の判決を取り消し、「サービス業」との判決を言い渡した。
この問題は、名古屋市名東区の歯科技工所「ゲット」が、「製造業なのにサービス業に事業区分され、消費税と地方消費税の控除率を低く算出し、 追徴課税されたのは不当」として、千種税務署長を相手取り、過少申告加算税など160万円の追徴課税処分の取り消しを求めていたもの。  一審の名古屋地裁は原告側の「製造業」との言い分を認め、被告に追徴課税の取り消しを求めた。これを不服として被告が控訴していた。

■逆転判決を考える■川島 哲 ユニデント代表取締役

歯科技工士の中に「歯科技工」を「製造業」のカテゴリーとせず、「歯科医療サービス業」とすることで職業的スタンスが向上すると勘違いしている人が少なからず存在するが、 それは大きな過ちである。「歯科医療サービス」のカテゴリーに「歯科技工」が万一、入っていると解釈するならは、この世から「製造業」たるジャンルはまったく存在しなくなるであろう。

歯科技工そのものを毎日行って体験していれば、世界中のマテリアルを練和したり、硬化させたり、合金を溶かして鋳造したり、 製造そのものの渦中にいる自分をきっと確認できることだろう。
製造業の中でもっとも多彩、多様なマテリアルを用いる歯科技工は、製造業だから面白いのである。 法的な製造業の解釈は「有機又は無機の物質に、物理的、化学的変化を加えて新製品を製造し、これを卸売又は小売する事業としている。
今回(2月5日)の名古屋高裁の田中由子裁判長の、歯科技工は「無形の役務の提供事業(サービス業)」であるとの判決は実情を知らない暴論である。 もしかして、国税サイドに立脚しそれを補完することが、税金で運営されている司法機関の当然の役務判断となれは司法判断の中立性は形骸化するはずである。

消費税もしくは本税の節税のためだけに私どもは製造業に拘っているのではない。確かに製造業だと「みなし仕入れ率は70%」、 サービス業だと「みなし仕入れ率は50%」と大幅に納税環境は激変するので看過できるものではない。
しかし私は職業存在にプライドを賭して主張しているのである。一審の名古屋地裁の納税者(歯科技工所「ゲット」)の主張を認めた消費税法上「製造業」に該当するとの判決は、 少なからず救われた気がしていた。

歴史的に見て「物づくり」を放棄した民族は滅びていった。製造業があるからサービス業が成立するのである。その逆はまったくあり得ない。
今後の上告審の最高裁では名古屋高裁同様に「無形の役務を提供する事業」との判断とならないことを切に祈りたいし、 医療業の中には製造業部門も存在することを明らかにしてほしい。これからは、私どもは生々堂々と「歯科医療物製造業」 (一般製造業と違う医療製造業)と主張しよう。総務省の日本標準産業分類の歯科技工所を「歯科医療に付随するサービス業」としたことも正していこう。 最後に、ゲットの本訴訟において自ら敢然と闘う姿に、今後とも大きなエールを送りたい。
〔参考資料 週刊税務通信 平成17年8月22日号、内藤達郎 日本補綴構造設計士協会発行 テクノバリュー18号コラム〕