「”チャイナリスク”と補綴物」 川島 哲

ある歯料技工士学校の専攻科に講義に行った時、卒業後の就職先で歯科技工士の 希望者がまったくないのに驚いた。何のための専攻科なのか理解しがたい現状である。 本科を含め4年間、何をしに学校に来ていたのだろうか? 無駄にエバンスを持っている姿はとても悲しい・・・・・・。
 新規参入の歯科技工士の5年後を想像するに、年間で300人ほどしか残らないだろう。
 中高年の離職、高齢者の自然死での減少を加味すると、増加するどころか大幅な減少傾向にある。
 ご存じと思うが、歯科技工士学校は毎年3校ほどは閉校しているし、さらに最近の歯科技工学校の入学者の 激減(定員割れ)と離職(転職)の激増は驚くほどである。
1990年当時は3800人ほどが入学していたが、現在は1800人である。  このままだと、おそらく2010年には歯科技工士学校には、入学者がわずか千人ほどしか来ない事態になると予想する。
 仮に、これらの学生全員が卒業後に歯科界に就職をしたとしても5年後には業界には160人しか残らない計算となる。
 しかし、この現状を危惧するどころか、歯科技工士の大幅減少を喜んでいる歯科技工士がいることはとても恥ずかしい。
 ましてや、その分仕事が取りやすいと標榜してはばからない姿勢は、まったく論外と言える。
 単純な問題として、今後はいったい誰が国内の補綴制作にタッチするのか気になるところだが、このままだと間違いなく海外(中国、韓国、台湾)の歯科技工士が補填することになるはずだ。
 現状を垣間見ると、行政も歯科界も重鎮たちもそのつもりでおられる気がしてならない。  マスコミに取りざたされている中国製の食品や薬剤等で死者も出ているが、歯科界も「チャイナリスク」に足元をすくわれないよう気をつけなければならない。
日本では患者さんの「安全」は自分たち歯科医療人が守らなければならないことを、歯科界のリーダーは忘れてはならない。