歯科技工物海外委託問題
歯科技工士有志が国を訴訟
損害賠償総額1億3600万円求める

歯科技工物作成の海外委託問題について、国が適切な対応をしていなかったとして22日、「訴訟を起こして歯科技工士を守る会」(脇本征男代表)は、国を相手取り総額1億3600万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
 原告は脇本氏ら80人。23日には、東京・三軒茶屋の「三茶しゃれなぁど」で訴訟に対する記者会見が開かれ、弁護士の川上詩朗氏から訴訟についての説明があった。
 海外委託技工の問題点について、「国はどの程度の海外技工物が入ってきているのか調査も行っておらず、歯科医師の自由裁量へ委ねている」とし、国民の公衆衛生に害を及ぼす恐れや歯科技工士制度の崩壊などを挙げている。
 訴訟の目的としては、海外委託問題について国が適切な対応をしていないことを司法の場で認めさせることなどを柱に挙げた。
 訴訟の争点について、「国内法である歯科技工法が、海外での歯科技工行為に適用することができるかどうかが争われる」と説明。漁業規制が関連する訴訟で、最高裁は「法の趣旨や目的に照らし会わせた場合、必要ならば海外でも国内法は適用できる」と判決した事例があることから、「国内法だからといって必ずしも海外に適用できないことはない」との考えを示した。

原告を「支援する会」発足
代表に大塚光男氏

歯科技工物作成の海外委託問題について、「訴訟を起こして歯科技工士を守る会」が国に対し損害賠償を求めた訴訟を受け、23日、「歯科技工の海外委託問題訴訟を支援する会」が発足した。
 決議により役員の選出が行われ、大塚光男氏が代表に選ばれた。
 大塚氏はあいさつで、訴訟提起が受理されたことに触れ「司法に乗っけてしまえば勝ちだと思っていた。損害賠償まで得られるかは分からないが、素晴らしい訴状内容になっている」とし、「本来やるべき人がやらない場合に、小さな組織でも努力次第で大きなことはできるとの結果を示したい」と意気込みを語った。
 なお、実務補佐は、「『隗』国民と歯科技工士の権利を守る会」の役員が行う方針。支援する会の役員は次の通り。
▽代表 大塚光男▽副代表 林 昭宏、内藤達郎、照井憲幸、
▽代表補佐 三次保、加藤敏明(敬称略)

決意表明

歯科技工士法は、無資格者による歯科技工や、指示書によらない歯科技工を禁じております。厚生労働省は海外委託が「散見される」と認めながら、私たちは、何年も何度も繰り返し申し出をしてきたにもかかわらず、何の規制も調査もせず放置したままです。
 歯科技工は日本国内で行われることが前提原則であり、海外委託は法の趣旨・目的に反します。国民のために良質な歯科医療を実現するためには、歯科技工士制度が十分に保証されることが必要です。この事態が放置されるならば、歯科技工士制度は根底から崩壊してしまいます。
 私たちは、厚生労働省の怠慢(不作為)を告発し、その責任を問うと共に、「歯科技工士の一分にかけて」ここに、国を相手に裁判を提起いたしました。
 この裁判の完全勝利を契機として、遵法精神を尊重し、歯科医師を中心として、私たち従事者・補助者も国民に尊重される歯科医療環境の構築を、共にめざすことをここに宣言します。

日本歯科新聞 2007年6月26日 掲載