相乗り なぜ避ける

高等専門学校生 中島 郁 16歳(東京都江東区)

僕は今、マンションの9階に住んでいる。エレベーターで1階までを行き来する。
 先日、家に帰ろうと、1階でエレベーターのボタンを押して待っていると、おじさんがやってきた。エレベーターが来たので、僕は乗ったが、そのおじさんは動こうとしない。別のエレベーターが来て、おじさんはそちらに乗って行った。
 今のマンションに引っ越してから、こんな経験をよくする。なぜ、他人と同じエレベーターに乗りたがらないのかはわからない。他人とのふれ合いを避けているように見える。 昔、団地に住んでいたころは月に一度、近所の人たちが集まって町の清掃をしていた。しかし、今のマンションではそうしたことはほとんどない。とても寂しいことだと思う。 僕はマンションで人に会ったら、あいさつをしようと思う。それがご近所とふれ合う第一歩だと思う。

(気流デスク)

エレベータを一緒に待っている同じマンションの住人がわざわざ別々のエレベーターに乗る。よくありそうなこの光景は現代の寒々とした人間関係を象徴しているという気がします。何気ない日常的な行為に潜む、今の社会の特質の一つを切り取って見せた中島君の感覚の鋭さが光りました。あいさつを手始めに、地域のふれ合いを取り戻したいという彼の志への共感が広がってほしいと思います。体験が出発点に、社会のあり方を自分なりに考える、こうした若い人たちが増えていけば、日本はもっと良くなるはずです。

讀賣新聞 2008年1月24日 掲載