運命の相合い傘

パート 角田 トシ 64歳 (東京都中野区)

私が高校2年生だった6月の雨の日のことです。期末テストを終え、傘を差して家路を急いでいました。背後に人の気配がすると、男性が「すぐそこなんで、入れてくんない?」と傘に入り込んできました。
 あまりの強引さにあっけにとられ「早い帰りだね」と言われても、「ええっ、今テスト中だから・・・・」と返すのがやっとでした。
 でも不思議と、何か初対面とは思えない親しみを感じました。たった5分の相合い傘が運命的な出来事となりました。鉄道員だったこの男性と駅などでその後も顔を合わせ、私たちはやがて夫婦となりました。

讀賣新聞 2008年4月6日 掲載