乾杯の音頭さえ あがる

(東京・A子)

 会社に勤めている30歳代の女性。引っ込み思案で、人前に出て話すことが大の苦手です。そのため友達も少なく、休日は一人で過ごすことが多いのです。
 ただ、職場では年齢的にも上の方なので、会議でも飲み会などの集まりでも、何か一言求められることが増えてきました。人前に出るとあがってしまって頭が真っ白になり、思ったことが言えません。あとで落ち込んでしまいます。会議の前日には緊張して眠れないこともよくあります。
 仕事はそれなりにこなしております。悪く言う人はいないので、人間関係はうまくいっております。
 これからの季節、忘年会や新年会などの行事がたくさん続きます。何かしらの出番が回ってくると思うと憂うつです。たかが乾杯の音頭ですが、それさえ、うまくできません。小さい悩みと思われるかもしれませんが、私にとっては大きな悩みです。

増田 明美 (スポーツ解説者)

 あなたの手紙は、簡潔で論理的なので内容がずっと伝わります。このように書くように話せばいいのですよ、と言いたいところですが、人前で話すとなるとそうはいきませんよね。
 大勢の人を前に、立て板に水のごとく話せる人はすごいと思います。でも、緊張にほおを赤らめながら、一生懸命話す人には好感が持てます。きっと「頭が真っ白なり、思ったことがいえない」あなたのまじめさに好感を持っている人は少なくないと思いますよ。だからあなたのことを悪く言う人はいないのですよ。
 私も講演会の前の日は、緊張してあまりよく眠れません。聴く人がどう思うかを気にし始めると逃げ出したくなります。でもそんな時は、うまく話そうと思わずに「等身大の自分を見せればいい」と割り切ります。
 乾杯のあいさつは出来るだけ短いほうが喜ばれるので、簡潔な文章を書けるあなたにはピッタリ。あとは、その短い言葉を音読する練習をしてみてはいかがでしょう。そして、忘年会では出席している中で親しい人の顔を見ながら、話しかけるように。ありのままのあなたが一番です。

讀賣新聞 2008年11月15日 掲載