脳への効果 指運動より大

よくかむことは身体の健康保持に役立つだけでなく、脳を活性化する効果もある。
 「細かい手作業は、認知症防止に役立つ」といわれるが、日本歯科大教授の小林義典さんによると、指の運動よりも咀嚼の方が脳を活性化する効果は大きいという。小林さんらが、硬さが違う4種類のグミゼリーを咀嚼した時の脳血流量を調べたところ、硬いものほど血流量が多くなった。
 咀嚼力低下と認知機能の関連を示す研究もある。東北大の研究では、70歳以上の高齢者1167人の認知機能と歯の本数の関係を調べた。認知機能が正常なグループは歯の平均本数が14.9本だったのに対し、軽度の認知障害の疑いがあるグループは9.4本と少なかった。
 ネズミの歯を抜くと学習や記憶能力が低下するという動物実験もあり、人でも咀嚼力の低下が認知機能に影響を与えている可能性がある。
 そのほか、ガムをかむことで学生のテスト成績が向上したという実験や、幼稚園児の知能指数と咀嚼の仕方に相関があったとの報告もある。
 カナダの脳外科医ペンフィールドが、大脳皮質の場所と体の部位との対応を調べて作った有名な脳機能地図がある。歯やあご、唇、舌など口周辺の機能に関する大脳皮質面積が全体の4割近くを占めており、かむことが脳に及ぼす影響の大きさが容易に想像できる。
 小林さんは「歯ごたえがあるものを食べることが、脳の活性化につながる」と話す。

讀賣新聞 2008年12月12日 掲載