闘病の友と再会

主婦 松永 啓子 65 (神奈川県海老名市)

「六十の手習い」にに始めた歌謡曲の発表で、先日、音楽ホールの舞台に立った。戻った楽屋口に花束を抱えたA子さんが待っていて、20年ぶりの再会を果たした。
 がんの闘病中で左足を引きずりながらやっと歩く私と、難病を患う彼女とは、「死をどう受け入れるか」と題したセミナーで知り合った。その後、不自由な体で農家を営む彼女からは、旬の野菜や果実が送られてきて、その厚意は20年間変わることなく続いた。
 私は、生き延びて元気になった自分の姿を彼女に見てもらいたいと強く思っていた。再会できたことは、前を向いて生きてきた私たちへの、神様がくれたごほうびに思えた。

讀賣新聞 2008年12月14日 掲載