始業式のミカン

無職 糸永 光 78 (大分県国東市)

私が小学生だった昭和10年代前半、3学期の始業式の日、子供たちに温州ミカンを配る習わしがあり、「蜜柑式」と呼んでいた。
 ミカンは、現在では想像もつかないほどの貴重品だった。子供たちは指折り数えてこの日を待った。始業式の後、先生が教室で2、3個ずつ配ってくれた。持ち帰って仏壇に供えた後、家族で分けて食べたものだ。
 防寒着もなく登校しなくなる児童もいて、出席率向上のため、ごほうびとして始められたそうだ。お年玉の意味もあったのかもしれない。私の地区では今も子供たちに配られ続けている。

讀賣新聞 2008年12月14日 掲載