どこまで伸びる日本人の寿命

医療ジャーナリスト 大谷 克弥

年の初めに、いったい日本人の平均寿命はどこまで伸び続けるのかを考えてみましょう。私たちは後何年生きれるかをしっかり念頭に置き、相応の生活設計を立てなけらばならない社会になっているからです。
 はじめに客観的なデータを示しますと、最も新しい2007年の平均寿命は男性79.19歳、女性85.99歳で、男性は80歳に後一歩、女性は86歳に王手がかかっています。勿論、共に過去最高の記録です。ちなみに男性は僅差で世界三位、女性は23年連続して世界一位です。  考えてみますと、終戦直後の1947年(昭和22年)は、男性50.06歳、女性53.96歳で、まさに「人生五十年」の時代でした。その敗戦国の平均寿命が30歳も伸び、世界に冠たる長寿国家になると予測した人は皆無でした。
 奇跡とも言える長寿をもたらしたのは、まず、栄養と衛生環境の向上、それに医療の発展に尽きます。食べ物がなく、伝染病が多発し、医師がいないと、長生きは望めません。 では、本題に入り、これからも日本で寿命のハイアップはずっと続くのでしょうか。先述の平均寿命を前年比で見ると、男性は0.19歳、女性は0.18歳と上回っています。
 もしこの数字が維持されれば、10年で男女共に2歳近く寿命は伸びるはずですが、実際にはそんな楽観は許されません。過去には、前年を下回ったことが何回もあります。

男女の寿命の差は変わらず
 近年の寿命の微増は、日本人の三大死因による死者が減ったからと見られています。ガン、心臓病、脳卒中の三つです。自分の健康は自分で守るという意識が根付いてきたからでしょうが、悪質なインフルエンザが流行すると寿命は低くなります。自殺者の数も大きく影響します。
 それでも国の研究機関によると、寿命の伸びを示す数字が示されています。
 2055年のことですから、これから46年先になりますが、男性83.67歳、女性90.34歳というものです。この時点でも依然として、男性は女性に7歳ほどの差をつけられたままになっています。
 ただ、平均寿命とは別に平均余命という尺度もあります。現在の年齢まで生きたら、総計的に後どれだけ生きられるか、という試算です。
 これによると、例えば現在50歳の人の平均余命は男性で約31年、女性で約37年です。60歳だと男性が約22年、女性は約28年です。

長寿の秘訣は毎日の心がけ
 年齢が増えると着実に平均余命も伸び、平均寿命をオーバーします。
 世界に目を投じると、エッと驚くような論文も発表されています。その筆頭はアメリカの生物学者による「2030年までに、世界の先進諸国の平均寿命は百歳前後に達する」という予測でしょうか。
 その理由として、医学のさらなる進歩が挙げられています。アンチエイジング医療という言葉が日本でも盛んに使われ始めていますが、老化予防や遺伝子の研究は、今後ますます発展していくことでしょう。
 不老長寿と言えば秦の始皇帝が秘薬を求めたことで有名ですが、悲願を追う研究は今も各国で脈々と続けられています。なかでも、ベニクラゲに不老に近い種類のいることが分かり、光明が差した、と言われます。しかし、クラゲと人類が結びつくかどうかは夢のまた夢、糸口を見つけるにも長大な歳月を要するのは必至です。
 私たちはまず、生活習慣病を遠ざけ、健康寿命を出来るだけ保つように注意すること。長寿の秘訣は、毎日の心がけにあるようです。

2009年 No.663 財団法人全国法人会総連合 ほうじん 掲載