不妊治療中の私に姑が暴言

東京・A子

30歳前半の主婦。子どもができないので検査すると、夫の精子が少ないことが判明。「不妊治療しなければ妊娠は無理」と医師に言われました。子どもを産み、幸せな家庭を築きたかったのに、ショックでした。
 人工授精を6回しましたが妊娠しませんでした。孫を催促する義母に事情を話すと、「早く体外受精をすればいいじゃない。何をもたもたしているの。孫の顔を見せて」。さずがに頭にきました。誰のせいでつらい治療をしているのか。義母が憎くなりました。
 夫は「おれのせいでつらい思いをさせて申し訳ない」と言ってくれます。そんな夫を支えたいと思ったり、離婚して新たな人生を歩みたいと思ったり。心は揺れます。友人から「出産しました」といった連絡をもらうと、みじめになって泣くことも。不妊治療のことを考えて眠れない日もあります。

樋口 恵子 (評論家)

大変な不妊治療に耐えているあなたに姑からの暴言。年甲斐のない、心の至らぬ女性ですね。でも、息子に原因ありと知ってパニックに陥っているのでしょう。姑もまたつらいはずです。
 あなたのご夫君は「すまない」と言ってくれる素直で優しい男性です。夫君ご自信のせいではないし、あえていえば誰のせいでもない。一種の不運です。運ですから、今の夫君と別れて別の男性と再婚しても、子どもに恵まれる保証はありません。
 ご夫君と添い遂げる気持ちがあるかどうか心の声を聞いてください。イエスと出たら不妊治療だけにこだわらず二人の人生を築く努力をし、自分自身を伸ばす生き方を考えてください。
 私の同世代に、同じような状況で、子どものいない友人がいます。病院で可能性は「宝くじ程度」と聞かされて、帰路、涙が止まらなかった。涙をふいて「私、子ども嫌いなの」と言い続けて40年。専門資格をとって夫の事業の右腕となり成功しています。二人で築いた仕事は子どもと同じ、と彼女は言います。憎いことにこの世代の夫は「すまない」などとひとことも口に出さなかったようです。

讀賣新聞 2009年1月29日 掲載