促される前に座席譲る幼子の優しさ

無職 中川 宗太 75 (千葉市)

電車に乗った時のことです。車内は混雑しており、私はドア付近に立っていました。近くの席に座っていた女性の赤ちゃんがベビーカーに乗っていたので、私は笑いかけていました。
 すると、彼女の隣に座っていた3歳くらいの男の子が立ち、「どうぞ」と私に席を譲ってくれるではありませんか。赤ちゃんのお兄ちゃんなのでしょうか。
 とてもありがたかったのですが、「次の駅で降りるから座って。ありがとうね」と優しく断りました。
 親に促されるでもなく、席を譲ってくれた、けなげな男の子に「うれしかったよ」と再度、礼を言って下車したのです。
 男の子の将来の姿を思い浮かべ、いつになく明るい気持ちになりました。

讀賣新聞 2009年2月11日 掲載