尽くしたのに義父が暴言

大阪・S子

40歳代女性。結婚して20年。子どもはおりません。夫と80歳代の義父との3人暮らし。家族を10年以上介護し、見送ったところです。
 相談したいのはわがままな義父のこと。一日の大半、顔をつきあわせ過ごして一挙手一投足を見られ、なんだかんだ言われるのは情けない。暴言を吐かれ心のバランスを崩しそうになったこともあります。心の底には、私が子どもを産めなかったことへの恨みが渦巻いているのでしょう。酒に酔って「産んでもいないのに風邪は引くのか」と言ったことさえあるのです。
 夫婦仲は良いので夫には義父の言葉を伝えますが、夫は「あの性格は直らないから気にするな」と言うだけです。いっそ私が身を引いて夫に再婚してもらい、子どもができれば義父も落ち着くのでしょう。魚の骨まで取って出すなど、身の回りのことには誠心誠意尽くしているのに、本当に悲しいです。

大日向 雅美 (大学教授)

女性の人生は結婚して子どもを産むか否かで価値が決まるものでないことは、今や社会の常識です。あなたは10年以上も家族の介護に尽くし、どんなに暴言を吐かれようとも、献身的な態度を変えずに義父の世話を懸命に続けていらっしゃいます。本当に心が優しい方で、誰もがまねできることではありません。
 夫婦仲が良いのは何よりですし、夫も心の中ではあなたに感謝していることでしょう。しかし、自分の親の横暴ぶりをあなたから聞いても、「気にするな」だけで済まそうとしているのは、私には合点がいきません。一家に対するあなたのこれまでの献身を伝え、暴言をやめるよう自分の父親をしっかりいさめるのが夫の務めであり、あなたへの本当の感謝の表し方です。
 確かに80歳代の義父の性格も態度も変わらないことでしょう。それでもこのまま「気にするな」で済まされては、あなたの気持ちが済みませんね。ご自身の口から夫に言いにくければ、この回答を夫にお見せになって下さい。あなたが身を引いて夫の再婚を考えるなど論外です。本心をお聞きするまでもなく、あなたもそんなことは望んでいないはずです。

讀賣新聞 2009年2月22日 掲載