ねぎらいの言葉

無職 岩佐 洋一 61 (兵庫県明石市))

私が小学校4年生だった時、貧しかった家の生活を助けるために、父の友人が営んでいる和菓子店のまんじゅう売りを1日だけ手伝ったことがある。
 頑張って家々を回ったのに、一つも売れなかった。悔しく、涙がこぼれた。歩くうちに腹が減り、悪いと思ったが、まんじゅうを一つだけ食べた。
 私は店に帰るまで、怒られることばかり考えていた。しかし、店の人に事情を話すと、「仕方がないね。ご苦労やった」と言われ、お金までもらった。
 思ってもみなかったことだった。人の優しさにふれ、涙したことを思い出す。

讀賣新聞 2009年3月1日 掲載