気丈な父の遺言

主婦 佐藤 陽子 33 (横浜市)

父が1月に永眠した。その闘病の姿は、「どんなことからも逃げてはいけない」という最後のメッセージだったと思う。
 一昨年、末期の胃がんが見つかった。私は涙の止まらない日が続いた。しかし、父は、嘆く母や私を励まし続けた。自分のホームページでは闘病記も公開した。
 昨年末に病状が悪くなると、死後にやってほしいことを話し始めた。葬儀のあいさつ文や会葬者のリストまで、自ら用意していた。
 「明るく死ぬから明るい葬儀にしてほしい」。そう言った目から、一筋の涙がこぼれた。私が見た、最初で最後の父の涙だった。

讀賣新聞 2009年3月1日 掲載