窮乏する民工 豪勢な官僚

【北京=左迫聡士】

「このままでは生きていけないわ。政府は何もしてくれない。記者さん、お願いだから何とかしてよ」
 昨年末から2か月ほどの間に、中国湖南省と河南省の農村を訪れた時のことだ。いずれも広東省の工場で働いていた民工(出稼ぎ労働者)らの失業、帰郷後の暮らしぶりを取材した際、収入の道が突然閉ざされた民工たちから、異口同音に泣きつかれた。
 工場の閉鎖などで失業、帰郷した民工は全国1億3000万人中2000万人と膨大だ。政府は再就職紹介や生活補助などの支援に乗り出したというが、社会の最下層に、そうした救いの手が届いているようには見えなかった。「世界の工場」を支えながらも、真っ先に切り捨てられる民工の哀れさをひしひしと感じた。
 その一方で、「地方政府がホワイトハウスのような豪華庁舎を建てた」「腐敗官僚が研修施設と称して公費でホテル並の別荘を造った」などの報道が絶えない。湖南省の省都・長沙の高級ホテルでは、地元官僚とみられるグループが一食2000元(約2万8600円)近いテーブルを囲んで食事する光景を目にした。民工たちがもらっていた月給とほぼ同じ金額だった。

讀賣新聞 2009年3月13日 掲載