心拍数減ると 寿命延びる

一生の間に打つ心拍の合計は、どんな哺乳類でもほぼ15億拍(回)で同じ-----。様々な生物学者らがこんな調査結果を発表してきた。東邦ガス診療所(名古屋市熱田区)所長の林博史さん(循環器内科)は「心拍が速いとエネルギー消費量が多くなるので寿命が短くなる」と説明する。
 林さんは1997年、この理論の人間への応用方法を提唱した。人間は、高度に脳が発達し、多くのエネルギーを必要とする。ほかの哺乳類のエネルギー消費量との比較などから、人間の総心拍数は「24億拍」ほどになると割り出した。
 そこから導かれる心拍数と寿命の公式は-----。
 「寿命(分)=24億拍÷1分当たりの心拍数」
 すると1分間の心拍数が70回なら寿命は65年。心拍数60回なら約76年-----(1年を52万5600分として計算)。
 「近年の医療の進歩を勘案すると、現代人の寿命は、この公式プラス5歳くらいが妥当だろう」と林さんは言う。
 心拍数と寿命の関係を示す研究結果がある。
 フランスの研究では、65〜70歳の健康な男性約1400人が85歳まで生存できた割合を調査。心拍数が60回未満の人の生存率は1とすると、60〜80回の人が0.86、80回超の人が0.58だった。
 東北大の研究によると、心臓病が原因の死亡率は、心拍数が1分間に70回未満の人に比べて、70回以上の人は約2倍の高さだった。
 心拍数を減らすことができれば、寿命が延びる可能性がある。林さんは「手軽で効果的なのはウォーキング。腕を振って、大またでの速歩きを毎日15〜20分、一生続けてほしい」と話す。ただし、極端に心拍数が少ない「スポーツ心臓」は、逆に短命になるとも言われる。何ごとも、ほどほどが大切だ。

讀賣新聞 2009年3月13日 掲載