「献金して仕事受注」旧態依然

浜辺陽一郎 47 
早大法科大学院教授、弁護士、米ニューヨーク州の弁護士資格を持つ。
専門は企業法務。著書に「コンプライアンスの考え方」など。

今回の「アングル」のテーマは、民主党の小沢一郎代表の公設秘書と西松建設前社長が政治資金規正法違反で起訴された事件を受け、「政治とカネ」です。繰り返される事件や問題の背景を識者に分析してもらいます。

-------西松建設が続けてきた不正献金をどうみるか
 政治家に献金をして仕事を取るという発想が根本から誤っている。建設業界では過去、それが「ビジネスモデル」として通用した時代があった。西松の経営者は連綿と過去を引きずり、「経営判断」として献金してきたのだろう。この方法が早晩行き詰まるのは明らかで、経営者としての時代認識の甘さを批判されてしかるべきだ。

-------企業のコンプライアンス(法令順守)の面からみた印象は
 西松の経営者が、政治資金規正法を順守した形に見せかけようとしたが、検察に違法だと判断された。コンプライアンスで重要なのは、法令順守だけでなく、企業倫理だ。先見性のある経営者は、数年先の法改正を見越し、脱法的な活動を改めておくものだ。

-------政治家側はどうか
 献金の実態は違っていても、政治資金収支報告書に記載していれば大丈夫、という発想にみえる。政治倫理が欠けていたと言わざるを得ない。最低限、公共事業を受注している企業からの献金は受け取らない倫理性が求められる。規制法に限らず、企業は様々な法律の制約を受けている。その法律を作るのは、政治家だ。政治家は率先して自身を律する必要があるのではないか。

-------小沢代表は続投を表明したが
 本来、辞任して当然。問題なのは、不祥事を起こしてもトップを解任できない民主党だ。ほとんどの企業では、トップは自発的に辞める。そうでないケースが生じたときに、組織として解任できる仕組みを作っておかなくてはならない。「進退はトップが決めること」と口をつぐんでいては、まるで将軍様の世界だ。「政党総治」はどうなっているのか疑いたくなる。

讀賣新聞 2009年3月26日 掲載