運転手と勘違い

自営業 小室 佳久 60 (所沢市下富)

学生時代のこと、友人が引っ越すので手伝いを頼まれた。私、運転手の3人で荷物を降ろし終えると運転手は帰った。私が休んでいたところ、友人の住み込み先のご主人が出てきて私を物陰に連れて行き、お礼を手に数枚握らせた。私は手伝いのお礼をくれたのだろうと、うれしくなった。片づけをしているところ、またご主人が出てきた。
 友人が「友だちです」と私を紹介すると、ご主人はじーと私の顔を見つめ怒った顔をして行ってしまった。どうやら私を自分が手配した運転手と間違えたようだった。ご主人の顔が今でも忘れられない。

讀賣新聞 2009年3月31日 掲載