取り戻したい車内の助け合い

主婦 佐藤シジ子 58 (東京都大田区)

今から約40年ぐらい前、私が高校を卒業して会社勤めを始めた頃、通勤はバスと電車でした。今ではほとんど見られなくなった風景を思い出します。
 座席に座っている人が、かばんや重そうな荷物を持って立っている人に、「荷物をひざに載せてあげますよ」と親切に言葉をかけていたのです。
 当時は、それが普通でした。私も荷物を持ってもらったり、他人の荷物を持ってあげたりしました。
 また、雨の日に道で行き会った見知らぬ人から、傘を差し掛けられて、「どうぞお入りください。途中まで一緒に行きましょう」と言われたことも何度かありました。私自身もそのようにしたことがありました。
 人間不信の時代なのでしょうか、こうしたことが今、あまり見られなくなったことに寂しさを感じます。

讀賣新聞 2009年4月1日 掲載