身勝手だから男生まれる?

(東京・H子)

昨年、2人目の子を出産しましたが、上の子に続いて男の子でした。
 以前に母が、「身勝手な人はみな男の子しか産めないので、老いてから寂しい思いをする。女の子を産めるのは、それだけ善行をしているからだ」と話していました。その言葉が、頭から離れません。
 私は、優しさや思いやりを大切にしています。ボランティア活動も3年間行っています。それなのに、男の子しか授からなかったので「身勝手な人間」とされ、寂しい老後を送らなければならないのでしょうか。
 私よりはるかに自己中心的な人でも女の子を産んでいます。男の子しかいないのは、そんなに不幸なことなのですか。毎日育児をしながら暗い気分になります。子育てがむなしくなります。

大日向 雅美 (大学教授)

昔から生まれる子の性別については種々言い伝えがあります。
 よく知られているのは「一姫二太郎で」です。女の子の方が夜泣きも少なく育てやすいのが一般的だから、最初は女の子だと子育てが楽にできると言われています。かつては後継者となる男の子が望まれる風潮も強かったため、最初に女の子が生まれても失望しないよう慰めるためという説もあります。いずれも親の都合を根拠としたものですが、親の身勝手さいかんが子どもの性別に影響を与えるという説は寡聞にして知りません。事実無根の説と考えて、耳を貸す必要は一切ないと思います。
 あなたの母親がなぜ女の子の出産にそれほどこだわるのか、おそらく老後は息子はあてにできず、娘が頼りと決めてかかっているからでしょう。しかし、これからの時代、介護を娘や嫁に頼る時代は終焉を迎えつつあります。少子高齢社会にあって、男女共に仕事も家庭生活もバランスよくこなせる力が求められています。
 お母さんの言葉に惑わされす、授かった息子さんたちを精いっぱい愛してあげてください。たっぷり愛されて育った子は、男女を問わず親の老後も優しく見守ってくれることでしょう。

讀賣新聞 2009年4月12日 掲載