ヘッドホン 気になる音漏れ

論説委員 徳永 文一

毎朝電車を3本乗り継いで出勤しているが、最近は携帯電話のマナーがよくなった、車内放送などで繰り返し注意を呼びかけてきた成果が出たのか、などと感じていた。一方で、ヘッドホンからの音漏れが気になって仕方がない。
 この実感は間違っていなかったようだ。日本民営鉄道協会が2月に発表した「駅と電車内で最も迷惑に感じる行為」の利用者調査によると、平日の朝7時から9時の時間帯では「ヘッドホンからの音漏れ」が最も多かった。「乗降時のマナー」「座席の座り方」と続くが、「携帯電話の使用」は上位5番目までに出てこない。
 車内を見渡すと、若者では読書や新聞派よりヘッドホン派の方がはるかに目につく。大半の人は音量を調節して外に漏れないようにしているのだが、周囲への迷惑を考えない者もいる。
 運が悪いと、せっかく席に座ったものの、耳元でうなっている隣席からの騒音に耐えなければならない。痴漢の被害に遭ったり痴漢に疑われたりするほど深刻ではないものの、朝一番に気分を害すると一日士気にかかわる。
 民鉄協はせっかく調査をして実態がわかったのだから、朝の通勤時間帯だけでも音漏れ防止の注意を呼びかけてほしい。車内放送をしても音楽などを聴いている耳には届かないだろうから、何か別の工夫が必要だ。
 メーカーにも責任があるのではないか。外に音が漏れない製品の開発に努めてもらいたい。

讀賣新聞 2009年4月18日 掲載