最高齢スイマー 小林さん

森洋 一郎

桶川市川田谷の小林保子さんは97歳。県内最高齢の現役スイマーだ。水泳歴は80年余り。今も通い慣れたプールで週一回、ゆったりと水に体を預ける。28日には、蓮田市で開かれたスイミンググループ・マスターズ水泳大会に背泳ぎで出場。「うまくできない」と苦手にしていたターンを克服して泳ぎ切り、満場の喝采を浴びた。

*写真のスイマーの後ろにいるのは、私の姉の西山紀子
 (旧姓:川島紀子)です。
 スイミングスクールのインストラクターをしています。


97歳 泳いだ50メートル
「その調子」「セイ、セイッ」-----。この日、会場となった蓮田市黒浜の大教スイミングスクール。ひとかき、ひとかき、水をつかんで泳ぐ小林さんに、プールサイドから声援が飛ぶ。ただ一人エントリーした75歳以上の女子50メートル背泳ぎ。2分5秒60の記録に「随分かかったわねぇ」と苦笑したが、会場の拍手に両手を挙げて応えた時の表情は生き生きと輝いていた。
 1912年4月19日、岡山県生まれ。地元の高等女学校で水泳を習い、津田塾大学時代は「学校でいちばん上手だった」。その後、子育てに追われた時も、自宅で学習塾を開き忙殺された時も、合間をみてはクラブなどで泳ぎ続けた。そして、90年には、世界マスターズ水泳の75〜79歳の部女子50メートル背泳ぎで年間ランキング・トップ10に入ったという。
 現在、所属する桶川市の埼玉スウィンスイミングクラブに通い始めたのは、このころ。車で10分ほどの道のりを、95歳まで自分で運転した。しかし、徐々に運転がおぼつかなくなり、駐車場の出し入れもままならなくなったため、一時は水泳をあきらめかけた。
 そんな時、窮状を救ったのが同クラブのインストラクター西山紀子さん(64)(桶川市下日出谷)だ。西山さんは、小林さんの長男渡洋雄さん(67)(同市寿)とマスターズ水泳仲間だったこともあり、「ここでやめてはもったいない」と、クラブと自宅の送り迎え、練習の付き添いを買って出た。
 すると、水泳だけでなく、カラオケに連れ立って行ったり、西山さんから和紙人形作りを習ったりと、日常の日々がより充実した。水泳の練習は週一回、1時間ほどかけてクロールで700メートル泳ぎ、十数年のブランクを経て大会にも出場するようになった。西山さんは「何でも常に前向き。私たちにとっても励みになる」と感心することしきりだ。

ターン克服 生涯現役宣言
息継ぎが苦しくなったため、3月からはクロールから背泳ぎに替え、距離も半分にした。しかし、「ターンがうまくできないと記録が伸びない」と話すなど意欲が衰える様子はない。
 プールから上がった小林さんは「完泳できて良かった。応援してくれる人の顔が見えて力がわいた。来年はターンのない25メートルで気楽に楽しみながら頑張る」。生涯現役を宣言した。


讀賣新聞 2009年6月29日 掲載