トイレの温水に雑菌
塩素蒸発タンクで繁殖

温水洗浄便座の温水タンク内では細菌が繁殖しやすいことが、東海大学の松本秀明教授と片野秀樹研究員(公衆衛生学)らの調査でわかった。加温によって、水道水に含まれる殺菌用の塩素が蒸発するためらしい。一部からは大腸菌群や感染症の原因となる緑膿箘も見つかり、松本教授は「健康なら問題ないが、おしりなどに病気のある人は注意が必要だ」としている。
 温水洗浄便座は清潔志向の高まりから普及が進み、今年3月の内閣府消費動向調査によると、世帯普及率は69%に達している。
 研究グループは、神奈川県内の民家80か所、公共施設28か所で温水洗浄便座の局部洗浄水を採取した。民家では水道の水質基準の平均31倍、公共施設では10倍の一般細菌を検出。民家では4か所から大腸菌群が見つかり、うち1か所では緑膿菌も確認された。
 温水タンクには清浄な水道水が取り込まれ、密閉型で外気に触れないことから、細菌は繁殖しないとされてきた。だが実際には、水道水を約30〜40度に温めるため塩素が蒸発し、ノズルのすき間などから侵入した細菌は、温かいことから増えやすいものと推測される。タンクの容量は1リットル前後で、使用分だけ水を継ぎ足すので、いったん菌が繁殖すればその後も残る。民家の汚染度が高いには使用頻度が少なく、タンクの水があまり入れ替わらないためと考えられるという。
 松本教授は、「汚染のひどい温水を肛門の出血やはれの改善に使えば、逆効果になりかねない。改善が望まれる」と指摘する。大手メーカーの広報担当者は「タンクの細菌汚染が問題になったことはない」としたうえで、出荷の2割を占めるようになったタンクのない瞬間湯沸かしタイプなら、より清潔に保たれるとしている。

讀賣新聞 2009年7月26日 掲載