道の駅で運命の出会い

ヒロコ・グレース (タレント)

初めて飼った犬が天国に行った悲しみを乗り越え、また犬を飼いたいと思った20歳代前半の頃、特に犬種にこだわりはありませんでした。「だったら丈夫で頭の良いと聞くミックス犬にしよう」と何の気なしに思い立ったのです。しかし、ペットショップは扱っておらず、飼い主の会でも希望した犬は抽選で落ちてしまいました。当時、ミックス犬の情報の少なさにびっくりしたのを覚えています。


 やっとたどり着いたのが日本動物愛護協会。飼い主募集アルバムに入っていた茶黒でメスのネネを見た瞬間、「私を選んで」と聞こえたような縁を感じました。後日、ネネが生まれたお宅に伺って譲ってもらい、3か月のネネを家族に迎え入れたのです。マイペースで癒し系のネネ。私の言葉を注意深く聞いてくれて、トレーニングは簡単でした。今は17歳になり、耳が遠くなりましたが、散歩にも出かけます。体全体で喜びを表現するのは変わりません。
 そして、この出会いから7年、もう1頭飼いたいと思うようになりました。「ネネと相性の良い犬なら」とだけ考えていましたが、、運命の出会いが、まさか四国で待っているとは。仕事で訪れた香川県の道の駅。駐車場に白いオスの迷い犬がいました。それがペロでした。前脚にけがをしていたものの、とても人懐っこくて元気で、私にほほ笑んでいるようでした。
 「東京にいたなら、ネネに合わせたいのに」
 夜、仕事を終え、食事の残りをあげようと、ペロがいた場所に戻り、しばらく捜しました。暗い茂みのなかで勢いよく動く白いシッポを見つけた時は、本当にうれしく思いました。ペロがご飯を食べ終わった頃には、東京に連れて帰ろうと決心したのです。
 そうなると、後は段取りだけ。家族の了解を得て、道の駅の責任者に飼い主がいないことを確認。帰りの飛行機をキャンセルして、レンタカーで帰ることにしました。道中、ペロは不思議そうな顔でしたが、逃げようとはしませんでした。
 家に着いてからは、ネネとの仲をどう取り持とうかとても気を使いました。最初は上下関係をはっきりさせ、呼ぶときもネネ、ペロの順にして接したところ、ネネもへそを曲げず万事うまくいきました。仲良しになったペロとネネには、臆病だけど好奇心旺盛な息子とその母親のような関係性も次第に出てきました。年上のネネはペロがいることで元気でいられるようです。
 その効果は家族にも影響しています。全員が健康でいられるのは、犬たちのエネルギーが家族の間に流れているからなのでしょうか。「これからもよろしくね」と犬たちにお願いしています。  

讀賣新聞 2009年9月11日 掲載