病払う鼻歌通院

パート 慶田 悦子 62 (埼玉県春日部市)

12年前、乳がんがリンパ節に転移し、「かなり深刻な状態だ」と医師に告げられた。抗がん剤治療を始めることになったが、どうせ長く生きられないなら、これまで働いていためたお金で好きな車を買い、それで病院通いをしようと決めた。
 「ボルボ」という名前の響きと、がっしりした車体が気に入っていたので、迷わず購入した。7か月間、その車で鼻歌を歌いながら病院に通い続けた。
 そのせいか、医師に「今生きているあなたは100人に1人だ」と言われ、元気で過ごしている。車は古くなったが、ラッキーカーはもう手放せない。  

讀賣新聞 2009年10月4日 掲載