夫の形見 娘運転

主婦 肥沼 和子 65 (栃木県壬生町)

夫がこの世を去り、残った車をどうしようかと迷っていた。乗り尽くしたので、買い替えようとしたが、「お父さんの形見だから乗れるだけ乗ってみる」と娘が言い出した。
 娘の免許取り立ての頃、夫は娘の運転練習に付き合って帰るなり、もう娘とは乗らないと言い出した。娘もよほど怖い思いをしたのか、それ以来、ペーパードライバーになっていた。
 今では、娘は私を隣に乗せて買い物に連れて行ってくれるようになった。
 お父さん、娘はとても上手になりましたよ。時々あなたとドライブでもしているような気がします。  

讀賣新聞 2009年10月4日 掲載