まずプラチナ権益
レアメタル確保 着々

伊藤 剛

新たなる成長産業を支えるレアメタル(希少金属)の安定確保に向け、日本の取り組みが成果を収め始めた。アフリカ南部のプラチナ鉱区の権益獲得で合意し、ベトナムでも高性能磁石などに使う資源の権益取得に向けた動きが本格化している。レアメタルを巡っては、世界有数の産出国である中国が輸出規制に踏み切るなど、囲い込みの動きもある。日本経済の浮沈のカギを握る資源だけに、獲得競争に勝つには官民一体の総合力が不可欠だ。

◇日本にとって初

経済産業省所管の独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は7日、ボツワナ東部でプラチナ鉱区の権益を取得することで合意したと発表した。日本にとって初のプラチナ権益だが、推定埋蔵量は、2007年の国内の年間需要量54トン程度だ。
 このため機構は、南アフリカでもプラチナ鉱床の探査を進めている。鉱床を発見した場合は、権益を日本企業に引き継ぐ方針だ。ベトナムやカザフスタンではレアアーズ(希土類)、南米のボリビアではリチウムの確保に向けた事業が山場を迎えている。

◇成長のカギ

レアメタルは自動車の環境技術や、携帯電話や液晶といった情報技術(IT)製品に欠かせない。安定確保できなければ日本製品が国際競争力を失いかねない。
 プラチナは自動車の排ガスに含まれる有害物質を取り除く触媒や燃料電池に使われ、日本は年間需要量の98%を輸入に頼る。全世界の生産量が年間204トン(07年)と少なく、南アフリカが世界の埋蔵量の約9割を占めるなど偏在している。
 このほか日本は、電気自動車のモーターなどに使うレアアースや高性能2次電池の材料となるリチウムの全量を、輸入に頼っている。

中国を警戒 取得急ぐ

中国は06年頃からレアメタルの輸出制限を強化している。中国国内に優先的に配分し、国際競争力を高めるためと見られる。これに反発する米、欧州連合(EU)は6月、自由貿易を推進する世界貿易機関(WTO)に提訴した。 日本政府は、日本企業の権益取得を急いでいる。「金融危機後、欧米の資源メジャーの投資が細った今こそ、出遅れを取り戻す絶好のチャンス」(経産省幹部)だからだ。
 ただ、中国も権益を買いあさっている。人件費が安い中国人労働者を派遣して資源国の雇用につながらず、反発を招いた例もある。日本政府は政府開発援助(ODA)なども活用し、現地人の雇用や教育、医療機関の整備などを通じ、「日本シンパ」を増やし資源の安定確保につなげる考えだ。

讀賣新聞 2009年10月12日 掲載