政府批判 報復で沈黙
 ロシア紙記者が現状訴え

ロシア南部チェチェン共和国での誘拐や暗殺事件などを取材しているロシアのリベラル系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の記者、エレナ・ミラシナさん(32)が、人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」の招きで来日した。ロシアでは昨年だけで、政府の人権侵害問題を追及するジャーナリストや人権活動家ら6人が命を落としたといい、ミラシナさんは「政府への批判が、力によって沈黙させられる悲劇を知ってもらいたい」と話している。
 同紙もこの10年で5人の記者を失っている。06年にはプーチン政権のチェチェン政策の批判記事を書き、国際的に著名だったアンナ・ポリトコフスカヤ記者が、自宅アパートで殺害された。ミラシナさんは、ポリトコフスカヤさんの後任としてチェチェン問題を担当。昨夏には、チェチェンで行動を共にしていた人権活動家が暗殺されたため、身の危険を感じて一時米国で過ごしていたが、来月から取材現場に戻るという。
 「報復を恐れて人々は口をつぐみ、取材は難しくなっているが、そういう人にとってジャーナリストは最後の希望」とミラシナさんは話す。日本では大学で講演を行い、19日に開かれるチャリティーイベントでも、ロシアの現状を報告する。

讀賣新聞 2010年4月19日 掲載