父の家庭内暴力 つらい記憶

(茨城・M子)

30代主婦。幼い頃、父がよく母に暴力を振るっていました。私は夜目覚めて心配になり、いつも様子をうかがっていました。弟もよく父にけられ、たたかれていました。父にわからないよう弟をかばっていたこともあります。あまりにもひどくて怖かったので、今もはっきりと覚えています。暴力を受けた母が入院したことがきっかけとなり、両親は離婚しました。母は今、幸せに暮らしています。
 私は子育て中ですが、思うようにいかない時や落ち込んでいる時に、幼い頃のあのひどい出来事を思い出します。そして、いつ、どうやって父に仕返しをしてやろうかなどと考えてしまいます。
 どうすればこの感情を解消できるでしょうか。何かアドバイスいただけたら、気が楽になると思います。

海原 純子(心療内科医)

つらかった出来事も、あとで「あの頃は大変だったね」とみなで話し合えるようになれば、傷は回復したといえるでしょう。でも、あなたは、つらさを封印したまま、過ごしていらしたのですね。家庭内のことはうかつに人に話せない。だからこそ、そのつらさが今になって思い出されて苦しいのだと思います。
 抑え込んでいた気持ちを心の中から出してすっきりしましょう。
 まず一人の時間をつくります。大型のけい線のないノートを用意してください。ノートの左側の白いページに、あなたが思い出した子ども時代のエピソードとその時の自分の気持ちをつづってみましょう。今の気持ちでなく、あくまで子ども時代のあなたの感情です。
 次に、右のページに今のあなた、成長したあなたが、子ども時代のあなたの味方になり応援する言葉をつづってください。夜、目覚めた時、心配で震えていた小さなあなたをイメージして励まします。
 書き終わったら、ページを破って捨ててください。
 最後に、子ども時代のあなたが元気で笑っている姿をイメージし、大変な生活を成長してきた自分に「よくやった」と声をかけてください。少しずつ気持ちが変化するはずです。

讀賣新聞 2010年7月13日 掲載