静かな集まり 苦痛

(東京・C子)

40代女性。気が小さくて人前で話すのが大の苦手です。  こんな性格のためだと思うのですが、いつの頃からか、静まりかえった場所に他人といることを苦痛に感じるようになりました。静かであることに緊張し、つばをのむ大きな音を出してしまいます。
 パートの職場でも朝礼のたびに緊張しますし、子どもの学校の懇談会でも静かな席につばをのむ音が響き渡ってしまいます。
 仲の良い友人と一緒にいても、周りが静かだと同じ状態になります。
 気の持ちようだとわかっていても、どうにもなりません。精神的にいかなければ解決しない病気なのでしょうか。もう何年も続いています。

野村 総一郎(精神科医)

あなたも「気の持ちよう」と言われているのですが、一歩深めて、この悩みの構造を考えてみます。
 これは@つばをのみ込む音を出すまいと緊張する→Aつばをのみ込んでしまう→B音が周りの人に聞こえたように感じる→C周りの人が不快になったように感じる→@に戻る、という悪循環の輪が出来ているようです。どんどんこの輪が回転しますから、どんどん悩みは深くなるわけです。
 これはどこかで輪を断ち切ることが必要です。ポイントはBとCだと思います。私は他人のつばをのみ込む音を聞いたことがないんですが、いくら静かといっても、聞こえるものでしょうか・・・・・。少なくとも大音響が場内に響き渡るというものではないでしょう。仮に聞こえたとしても、そんなに他人に不愉快を与えますかね。そこまで気にする人がいるでしょうか。
 以上を検証するために、わざとゴクンゴクンと数回繰り返してみてもよいかも。場内騒然となり、非難の嵐が巻き起こり・・・・・ということにならないはず。つまり、BCは気にしなくて良いのです。すると、@Aも気にしなくても良いことになるのではないですか?

讀賣新聞 2010年7月15日 掲載