補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
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たっちゃんの関係法規
  そのN 「判例にみる歯科技工士像」

内藤 達郎
(PSD)日本補綴構造設計士協会 相談役(法律)

「印象採得とは、義歯又は金冠製作の為直接患者の口中より、「かた」を取る行為。試適とは、義歯又は金冠の製作に際し、直接患者の口中にあてて適否を試みる行為。篏入とは、完成せる義歯又は金冠を人体に装着するに当たって修正する行為は篏入であって試適ではない。(昭和23年1月17日医発32)
 この厚生省通達は、歯科医師法制定に合わせて用語の定義の必要から出たものと考えられる。これは昭和30年に制定されることになる「歯科技工法」の立法主旨の柱になっていくのである。「歯科技工法」制定後に出された裁判記録を考察してみる。

 昭和34年(1959年)5月20日の最高裁第二小法廷決定が、歯科技工士の免許を有しない被告人が印象採得などのみならず、いわゆる代診行為を行った事案に対して、「歯科技工法が昭和30年10月15日から施行された後、同法により歯科技工士の免許を受けた者でなければ、印象採得、試適及び篏入の各行為はもとより、義歯または金冠を製作する行為も行うことができないのであるから、被告人が技工士の免許を持たないでかかる行為を行ったことは違法である」旨判示している。これは歯科技工士の免許を有する者であれば、印象採得などの各行為を行い得るという前提に立った判断と解せられる。
 思うに、印象採得などの挙示の各行為は、それ自体決して人体に危険を及ぼす行為とは考えられない。実質的にそのような危険が予想されるのは、疾病、症状を看過し、あるいは不完全・不十分な治療のまま、補綴物の篏入、装着などが行われることであって、印象採得などの行為自体の危険性はないのである。

歯科技工士の免許を有する者の歯科医師法違反事案としては、昭和52年7月20日の大阪地裁判決、昭和53年12月20日の大阪地裁堺支部判決、昭和56年2月13日の札幌高裁判決(古川事件)などがある。
 次回はこの二つの判例を分析してみたいと思います。

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