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たっちゃんの関係法規
  緊急コラム 「海保の内部告発と守秘義務」 

内藤 達郎
(PSD)日本補綴構造設計士協会 相談役(法律)

尖閣諸島沖で起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船衝突事件で、その様子を撮ったビデオをインターネットで公開したとして、海保の航海士が国家公務員法違反に問われている。
まず国家公務員法における守秘義務について検証したい。

国家公務員法第100条には
第1項 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金に処せられる。

しかしまた一方では内部告発を行った労働者を保護する法律である「公益通報者保護法」も存在するのである。この公益通報者保護法の定める保護の対象となる労働者とは「労働基準法第9条に規定する労働者」ではあるが、但しその9条の対象外である公務員であっても「公益通報者保護法」の7条では同法の保護の対象とされると規定されている。従ってこの海保職員は内部告発者として同法の保護対象の労働者と考えられる。

この事件は最初の漁船船長の超法規的な釈放からボタンの賭け違いが起きてしまった。民主党政府は「国益」という大義名分のため船長釈放を追認し、記録ビデオ公開を「中国による日本非難の主張を退けることができる」と我が国の国益に資する事実を認めていながら、これを「国家機密」と言い張り、海保職員を重要事件の犯人として追い込んでいるのである。この矛盾が露呈したために中国政府からナメラレているのである。

このたびの海保職員の逮捕劇は、政府が主張する「守秘義務」に当たるかどうかは非常に微妙な問題だ。それはすでに国民の代表者たる国会議員に一部とは言え公開されていて、更にその国民の代表が「全面公開」を政府に要求している事案だから、むしろ公開すべき資料だといってもいい。国民にとって「国益とは何か」というバランス感覚は、正常に機能している。政府に取って都合が悪いだけでは犯罪は成立しないのである。

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