補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
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たっちゃんの関係法規
  その24 「歯科技工士法の法益とは」

内藤 達郎
(PSD)日本補綴構造設計士協会 相談役(法律)

法益とは法によって保護されている利益のことである。例えば殺人罪の規定によって保護されている法益は人の生命であり、窃盗罪の規定で保護されている法益は個人の財産である。このように犯罪は何らかの法益を侵害する行為であり、その侵害に対する制裁として、法はその行為者に刑罰を科する。  法益はその利益の帰属主体によって個人の生命や財産のような個人法益と、経済の安定、社会の平穏というような社会法益と、国家作用の遂行というような国家法益がある。ここでは社会法のひとつである歯科技工士法で保護されている法益について検証する。

 歯科技工(士)法(昭和30年法律第168号)第1条にこの法律の目的が明示されている。「この法律は、歯科技工士の資格を定めるとともに歯科技工の業務が適正に運用されるように規律し、もって歯科医療の普及及び向上に寄与することを目的とする」。
 このように歯科技工(士)法の目的を確保するために「歯科技工法提案説明」(昭和30年国会における厚生大臣説明)のなかで述べられている。そこでは歯科技工(士)法の立法の目的を確保するために、同法が定める基本的方策(規制内容)として4点あげている。
 1. 歯科技工士の免許制度
 2. 禁止規定
 3. 歯科医師の指示書
 4. 歯科技工所についての規制

 すなわち、歯科技工(士)法は業務法(施設法)の規制内容を主としながらも、免許制度を明示しているところから辛うじて身分法の側面を有していることになる。これは「歯科技工士法(平成6・2・2・法律1号)」として題名が改正されたあとも、文部省管轄の歯科技工士学校誕生以外は基本的には身分法としての権利条項(業権拡大、独占業務特定など)の改正はなかった。逆に歯科技工士の守秘義務や歯科技工指示書の規制が一層厳しくなったのである。
 歯科技工法から歯科技工士法に改正されたとき、組織のリーダーは「これで名実ともに身分法になった」と宣言したが、業界には冷めた空気が充満していた。そして現在「海外発注問題で、歯科技工士の法益が揺らいでいるのである。

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