補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
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たっちゃんの関係法規
  その38 「独立開業にからむトラブル」  

内藤 達郎
(PSD)日本補綴構造設計士協会 相談役(法律)

被告は、教室を開いている原告会社との間で、退職後3年間は競合関係に立つ事業を自ら開業しないと合意したにもかかわらず、被告が原告会社退職後すぐに同種の事業を開始したことから、原告が被告に対し、被告の事業開始は本件合意に反するとして、営業の差止めを求めた訴訟が東京地裁であった(平成22年10月27日)。

原告の主張に対して被告は、
@本件合意は公序良俗に反し無効であること、
A被告は原告に損害を与えるような協業をしておらず差止めの利益がないこ と、
B本件訴訟が権利の濫用に当たること等を主張した。

裁判所は、被告による営業が本件合意に反するとした上で、まず@につき、 本件合意の目的は原告が顧客に関する情報、授業のノウハウ等の秘密情報を 保護するもので正当なものであり、また、3年間競業を禁止するという手段 もそれ自体必要かつ合理的なものであることから、本件合意は公序良俗に反 するものではないと判断した。

次に、Aについては、被告が原告と競合関係に立つ営業を行い本件合意に反していること、被告が今後も同営業を運営する意思を有していることからすれば、原告のノウハウ等の秘密情報を保護するためには、被告の営業を差し止める必要性が高いと判断し、差止めの利益を肯定した。

最後に、Bについては、競業禁止期間が3年間というのは原告のノウハウ を守るために長きに過ぎるとはいえないこと、被告の経営規模が小さいこと は原告のノウハウを守るという目的を否定する事情にはならないこと等から、 原告の提起した本件訴訟は正当な権利の行使であると判断した。このように、裁判所は原告の請求を認容し、被告が運営する教室の宣伝、勧誘等の営業行為の差止めを認めた。

 歯科技工所勤務者など一般会社から独立開業するケースにおいて、しばしば起きるトラブルの参考になれば幸いです。なお、会社に限らず各種研究会から分離独立する場合にも、その名称・内容・ノウハウなど競合関係にある団体との調整に腐心しなければならない。

アジサイ

内藤達郎撮影

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