補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
PSD (PSD)伝達事項 川島セミナー会場 著書紹介 セミナー 執筆記事 気になるニュース トピック ホーム

たっちゃんの関係法規
  その40 「判例に見る歯科技工士像」その2 

内藤 達郎
(PSD)日本補綴構造設計士協会 相談役(法律)

ここでは「古川裁判」の判決を、始めに違法性ありきという前提に立ち、歯科技工法20条を並列説で解釈してみる。(並列説、例示説についてはQDT1999.1を参照されたい)
 歯科技工業務の範囲に入る行為として、印象採得・咬合採得・試適・装着などがあり、または「歯科医師でなければ危害を生じるおそれのある」行為としても、印象採得・咬合採得・試適・装着などがあることになる。後者のこの行為を総称して歯科医療というわけだから、抜歯その他の治療行為も当然歯科医療の範囲に入る。
 つまり法的にいえば、「危害を生じるおそれのある」行為としての印象採得とそうでない行為としての印象採得があることになる。実際には同じ行為なのだから、両者は2つの円が重なり合った部分に位置すると考えられる。
 歯科技工士が「危害を生じるおそれのある」印象採得をすれば、歯科医師法第17条違反になるが、そうでない印象採得は合法となる。危害を生じるおそれのない印象採得の条件は何か。それは「問診」しかない。問診とは、診療のてがかりを得るために、患者に病状や既往症などを訊くことであるが、「危害を生じるおそれ」の有無を確認する医療行為は医師でなければできない。
 「古川裁判」では、問診を通じ「危害を生じるおそれ」がないことを、歯科技工士みずから判断し、印象採得しているところから、この問診という医療行為が違法とされたのである。問診をしないで印象採得をすれば、「危害を生じるおそれ」のある行為として糾弾される。「危害を生じるおそれ」がないことを証明しようとすれば、問診が不可欠となるのである。
 したがって歯科技工士がみずからの業務である印象採得をする場合は、前提条件として「危害を生じるおそれ」のないことを医学的に証明(診断)できる人の介在が必要となる。これは当該歯科医師の立ち会いのもと(能美説)という密着性は必要でなく、当該歯科医師の指示のもと、問診完了後であれば可及的すみやかに「危害の生じるおそれ」のない行為として、印象採得などの一連の行為が合法的にできるということである。 

里山の秋

内藤達郎撮影

Copyright UNIDENT Co.,Ltd. All rightss reserved