補綴構造設計士・歯科技工士川島 哲の世界
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歯科の実力

 歯を削られすぎていませんか?必要ないのに抜かれていませんか?

表紙    冒頭インタビュー   より納得のいく治療と出会うきっかけにしてください


快適な入れ歯の追求から、新たな和の伝統づくりへ

  

有限会社ユニデント 川島 哲
平田一八=写真

義歯の世界にもコンピューターを利用した制作技法が導入されている一方で、あえて人間味のある入れ歯づくりに精魂を傾ける”マイスター”がいる。蔵の町として知られ、小江戸とも称される埼玉県川越市の川島哲さんがその人だ。川島さんの作る”究極の”入れ歯をご紹介しよう。
金とプラチナの合金入れ歯と聞くと、単純に金色の歯を想像してしまう人もいるかもしれない。しかし、ここで紹介するのは、歯そのものではなく、それを支える土台部分に金を使った入れ歯だ。土台部分は保険診療だと、レジン(プラスチックを主とした樹脂)で出来たものになる。強度を考えると、かなりの厚みが必要になってしまう。値段的に安いコバルト・クロム合金などを使った金属床入れ歯(デンチャー)もあるが、金は焼き入れ(熱処理)が可能で、そのために薄くできる上に強度もある。柔軟性の高い金属だけに口の動きにもフレキシブルに対応するので、患者に優しい素材だという。また、金ぱく入りの日本酒などでもわかるように、全く味が変わらないのも金の利点だ。「かむことは一種の生命維持装置です。歯ごたえが食べる楽しみになり、生きる力になる。それをもっとも自然に実現できるのが金なのです」
 金とプラチナの合金というと簡単なようだが、実は川島さんならではのノウハウがあるという。それぞれ融点が違うので、鋳造方法をうまくしないと良いデンチャーにはならないからだ。金属の性質に精通している川島さんならではの技術となっているのだ。さらにそうした鋳造されたデンチャーは、口の中に違和感なく入れられように、細かく削られ、形を整えられていく。削りすぎてもいけないし、細心の注意が必要な作業だ。基本設計から、出来上がるまでに3ケ月近くかかるという。
 川島さんの工房で作られた入れ歯を目の当たりにすると、金細工のような趣があるのに気がつく。美しいデザインが、使う人の心を和ませ、安全で痛くない入れ歯にもなるからだという。川島さんは、若いころは金以外の金属床入れ歯の普及に努めた時期もあったという。しかし、35年のキャリアの中で、次第に日本の金工芸の文化にもつながる金のデンチャー作りに理想を見いだすようになったそうだ。手作り部分を重視するのも、数値化を追求したうえで、たどり着いた結論なのだろう。
 川島さんは金のデンチャーだけを作っているわけではないが、近い将来はすべて金にしていきたいという。「高価な金だけに、単なる金もうけではないとわかるような患者さんと歯科医師、歯科技工士との信頼関係が大事です。そうしたことを踏まえながら、和の伝統につながる金の加工技術を継承していきたいと思っています」と言う。
    
   

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